寺田屋へ
男なら、寺田屋だ。突然そう思い立ち、わたしは京阪中書島駅に降り立った。
寺田屋事件。慶応2年1月23日(1866年3月8日)、ここに宿泊していた坂本龍馬を、伏見奉行所が捕縛しようとし、異変に気づいた恋人のお龍(入浴中)が、裸のままで二階へ駆け上がり危機を知らせたという。龍馬は銃で反撃し、逃走した。
大きな仕事(世直し)と、それによる抵抗勢力(幕府)からの反撃。銃声と剣のきらめき。もちろん、血なまぐさいだけではない。愛する女が、我が身も省みずに急を知らせてくれるのだ。ここに、男のロマンがすべてそろっているといってもいいのではないか。
ほほう。エアコンが興を削ぐなあ。写ってないけど、左手にはブラウン管のテレビもある。幕末というより、昭和チック。しかし、男のロマンの前には、些細なことだ。
弾痕。なんだか、威力が弱くない? 当時の銃ってこんなもんなのかな。
「寺田屋は鳥羽伏見の戦いで消失したため、現在の寺田屋は幕末から残る建物ではない、との調査結果を京都市が公表した」とのこと。
チ、チクショーッ! オレのロマンが!