検索バカ

検索バカ (朝日新書)

検索バカ (朝日新書)


検索バカ、といわれると、ちょっとドキッとしたので、この本を手に取りました。

ウェブと検索エンジンの発達により、世間では「クウキ」を読むことを強制されるようになった。クウキ、とは人の顔色をうかがうことであり、自分に期待されるキャラを演じることである。わたしたちがクウキから自由になるには、思考しなければならない。といった内容です。

クウキを読む、というのは、TPOをわきまえる、ぐらいの意味かと思っていたけど、そういうことではなく、なんかこう、もっと重苦しいことのようだ。文中にあるように、ノリまで強制されると、これはもう息苦しい。

わたしが学生のころは検索エンジンなどまだ無かったが、ノリを強制される雰囲気、というのはすでにあったように思う。わたしはどっちかといえばノリが悪いので、あえてそういった雰囲気に反抗することがたまにあった。でも、あくまでたまに、だ。反抗すると「なぜのらないのか」という議論がスタートしてしまうので、それを避けるために、のっているふりをするのだ。

でも、たまに反抗して、周りから孤立することがあったりした。わたしは友人を作るのが下手で、数も少ないが、それは悪いことではない、と思う。人は、孤独になると思考し、空想する。この思考と空想は、本書でも述べているように、人が生きていく上で、大切なことだからだ。一人でいる、ということを、そんなに恐れることはない。

自分で思考し、つかみとった文章として、日本で最も有名な遺書、というのが掲載されている。初見だった。なんでもない言葉の羅列なんだけど、その美しさと切なさに、心を打たれた。

文章とはなんと不思議なんだろうか、と思いました。