人間の器量
- 作者: 福田和也
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/11
- メディア: 新書
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帯に、
能力があるか、ないか。
いい人か、悪い奴か。
その程度のことで、もて囃されたり、貶められたりする。
とあり、軽く衝撃を受けました。能力があるかないかが「その程度」のことなのか。世知辛いこの娑婆世界を渡って行くには、能力の有無は一大事ではないか。
明治以降の偉人を例に挙げ、日本人の器量を問う、といった内容です。西郷隆盛、伊藤博文、田中角栄。……えっ? 結局、大きな仕事をした、能力のある人の列伝に過ぎないのでは? と思いますが、乃木希典、山県有朋といった人物も上げられていて、そのあたりに「能力」と「器量」の違いがあるのかもしれない、と思いました。
司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」では、乃木希典や山県有朋は、能力のない人物として描かれていて、特に乃木の旅順要塞攻略のあたりは悲惨です。しかしながら、本書では器量という面から乃木を評価しており、新鮮でした。
思えば、乃木や東郷平八郎、あるいは西郷隆盛もそうですが、こういった大器量とされる人物を描くのが、司馬遼太郎は苦手なのかもしれないなあ、と思いました。
そういえば、NHKドラマの「坂の上の雲」でも、ちょっと乃木希典が出ていましたが、あの調子だと旅順要塞攻略はどうなるのか。今から不安で仕方がありません。