おまえが若者を語るな!

おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)

おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)


非常に挑戦的なタイトル。内容もタイトル負けせずに攻撃的で、よかったです。

若者論、というのはほとんどの場合、大人の世代から、若い世代に向けた批判だ。わたしはすでに若者という年齢からは遠いが、本書が論じるのは、1970年代以降に生まれたものが浴びてきた、いわれなき若者論への反撃なので、1971年生まれのわたしとしては、かつて若者論にさらされてきた者の一人として読んだ。

だいたい、若者論って、言うほうは気持ちいいんだろうが、言われるほうにとってはこれほど不快なことはないよなあ。なぜなら、言われる側はサンドバッグ状態で、反論できないからだ。異常な少年犯罪がおこると、その世代全員が異常とでも言いたげな報道がなされるし、近ごろの新社会人はみな指示待ちで礼儀知らず、というような論調も根強い。

しかし、このような論に反論する機会はなく、言った者勝ちなのだ。高名な論客がもっともらしいことを述べたりすると、世論さえそっちへ流れていく。言われる方には、やり場のない怒りと悲しみが蓄積していく。

著者は、様々な若者論を取り上げ、それらが妄想と思い込みでしかないことをいちいち断じていく。「よう言うた!」と喝采したい。「バカの壁」「国家の品格」といった、ベストセラーの著者にも牙をむく。執念深く、執拗に、いわれのない若者論を論破する。そして、もう世代論を捨て、「世代」に変え、科学、人権、経済、法といった普遍的な基準で種々の問題を検討しよう、と提案する。

このあたりは、ちょっと目からウロコが落ちる気がした。当然すぎるほど当然なんだけどね。ひょっとしたら、わたしがすでに、若者論を論じる側に回ってたからかもしれない。