ジムで筋トレ。今日はなんだか調子がいい。苦手な懸垂もガンガンできるぜ!

真っ白に燃え尽きて、ベンチでボーッとしていると、突然話しかけられた。
「あのー、すみません……」
顔を上げると、女の子が立っている。しかも、ハートを打ち抜かれそうなほどかわいい!!

今までも、ジムで話しかけられることはたびたびあった。マッスルなお兄ちゃんとか、マッスルなおっさんとか、世紀末覇者のような超マッスルなおじいさんとかから(このおじいさんには勝手に弟子入りして、筋トレのイロハを教わった)。

しかし! とうとう女の子から話しかけられる日がこようとは!! マッスルの神よ! 感謝します!

「あの、ちょっとききたいんですけど」
「どうしましたお嬢さん。なんでもどうぞ!」
「それ、なにを飲んでるんですか?」

彼女が指差したのは、わたしのPETボトルだった。中身は、アメリカ製のサプリメントを水に溶かしたもので、アミノ酸とかベータアラニンとか、筋トレ野郎にはありがたい成分がいろいろと入っているんだけど、色が鮮やかな赤紫で、特管産廃のようなやばそうな色をしている。というか、絶対に飲みたくない色です。仕方ないから飲んでるけど。アメリカ人ってすごいよな。

「ああ、これはね、アミノ酸なんだ! そのほか、クエン酸なんかも入ってるんダ!」
「ああ、そうなんですか! やばい薬じゃないんですね!」
「……?!」

ジョークではなかったと思う。