8月31日(月)

A社某工場へ、打合せのために訪問。駅からタクシーに乗車。
しばらく走ると、ちょっと高倉健のような、苦み走った表情の、渋い運ちゃんが、
「お客さん、A社さんに行くってことは、……」
ルームミラーの中の、運ちゃんの瞳が、きらりと光りました。
「乳業関係の方ですね」
「いえ、わたしはA社さんから仕事をいただいてまして、乳業関係ではないんですけどね」
「そうですか」
しばらく沈黙。
「お客さん、酒は飲まれますか?」
「は、はあ。飲みますけど」
また沈黙。
車が工場に着きました。お金を払って下りようとすると、運ちゃんが振り向いて、
「ちょっと待って下さい、お客さん」
「は、はい」
「焼酎をね、牛乳で割るととてもおいしいんですよ。知ってました?」
「いえ、はじめてききました」
「今度、試してみて下さい。はい、領収書です」
「そ、それはどうも」
「あっ!」
「な、なんですか!?」
「牛乳7対焼酎3の割合で。必ずですよ」
運ちゃんは苦い表情を変えず、車が走り去りました。
今度試してみようっと。