どちらさんでしたっけ?

仕事が一段落して、時間に余裕があれば、スポーツクラブにいく。現在のスペックは身長180cm、体重90kgというところで、最近体重が下降気味だ。最近、仕事のほうでたくさんいやな汗をかいているからなあ。やせるよなあ、そりゃ。

今日もスポーツクラブへ。デットリフトをしていると、見知らぬおじいさんが話しかけてきた。わたしは身体が大きめなので、目立つのか、たまにこういうことがある。

「おにいさん、すごい身体してはるなあ」
「いやー、おにいさんって歳でもないんですよ」

その後、運動を続けたら健康診断の数値が良くなったとか、体幹の筋肉が大事だとか、ちょっと会話が進展した。

「……そうそう、そうやねん。やっぱりこの歳なってもな、運動つづけんと、……あれ? あっ! おにいさん、どっかで見たことあるかと思ったら! やっぱり! そうや!」

え? このおじいさんわたしを知っているようだ。だれだっけ? こっちはまったく見覚えがない。まずいなこりゃ。まさか、仕事で会ったことある人かな? スーツ着てると着てないではまったく印象がちがうからな。よし、このおじいさんにスーツの映像を重ねて、……だめだ! だれだかまったくわからん! 「どちらさんでしたっけ?」と聞くしかないか。そう覚悟を決めたとき。

大阪プロレスの、あのレスラーやんな! 名前はたしか」
「違います!」