ハイヒールと宝石が温暖化をもたらす

ハイヒールと宝石が温暖化をもたらす (PHP新書)

ハイヒールと宝石が温暖化をもたらす (PHP新書)


このタイトルはちょっとどうか。いたってまじめに温暖化対策を述べた本なので、もうちょっとストレートにネーミングしてもよかったと思うが。

タイトルの意味を簡単に説明すると、以下のようなところ。

正規ルートでない安いダイヤを買う→ダイヤモンド産出国の内戦を助長する→経済発展を阻害し貧困が続き、森林の減少が進行する

ハイヒールをはく→足が痛いのでタクシーを使う機会が増える→(かなりこじつけだが)Co2が増えやすい生活習慣になる

ということで、ハイヒールと宝石を身につけた女性からすれば、言いがかりに近いものがあるかもしれない。しかし、人類の経済活動がこうまでグローバル化すると、自らの活動が地球環境にどれだけ負荷をかけているかなど、想像することは困難だ。ハイヒールと宝石はあくまでその一例に過ぎない。

ITによる格差の是正から、個人の行動の大切さ、「問題解決力」と「価値観の共有を前提としないコミュニケーション力」など、同書が上げる環境問題の解決は、環境だけにとどまらないといえよう。

著者は、地球環境を「21世紀の『坂の上の雲』」と表現している。維新後の日本における最大の問題がロシアの南下であり、現代の人類におけるそれが温暖化ということだろう。日露戦争の場合は、日本という国家の総力戦であり、国民が皆、坂の上の雲を目指していたからこその結果だ。今、国家や民族の垣根を乗り越え、人類が総力戦として一つの雲を目指せるか、どうか。