坂の上の雲 第3部 第11回「二〇三高地」を見た

とても良かったです。

日露の白兵戦のクライマックスは、取っ組み合いしたり、噛みついてる兵までいて、本当にこれ演技なんだろうね、という感じでした。わたしは高校生のころラグビーをしていたのですが、ラックやモールの中ではこんな取っ組み合いをしてたなあ。噛みつきはしてないけど。

戦争というものは本当にいやで、特に先週から今週にかけての旅順攻略ではものすごい数の人々が死んでいくのですが、それでもなぜ私たちはこれほど戦いの物語に惹かれるのか。

そこには様々な理由があると思いますが、戦争とは組織と組織が優劣をかけて作用し合う現象であり、比較的早期に、しかもしばしば劇的な結果が現出し、そこから大きな示唆を得ることができるからではないか、と考えました。

ある国と国において、双方のどちらが正しいかなどとは結論が出せることではないのですが、それを力ずくで出してしまうのが戦争です。そして、なぜ勝ったか、なぜ負けたかという原因が、かなり明確に推測できるところが魅力なのではないでしょうか。

本ドラマの日露の戦いの結果は、奇跡的とさえ言えます。しかしそれは、明治人が死にものぐるいで戦って引き寄せたものでしょう。前線で戦った将兵はもちろん、海外で金策に走り回った人や、敵国で革命を扇動した人、そして元を辿れば日本国民の一人一人が、血を流しながら得たのではないでしょうか。

このドラマの原作者は作中で、なぜこのようなタイトルをつけたか説明しています。前だけを見つめ坂を上っていく。そういう気分を、皆で共有できる、というのは、とても素晴らしいことなのでは、と思いました。