悩む力

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)


悩んでます。人類の未来はどうなるんだろうか、といった壮大な悩みもあれば、ちょっとここでは書けないようなどうしようもなく恥ずかしい悩みもある。誰だってそうだろう。

本書では、現代人が向き合わなければならない悩みについて、夏目漱石マックス・ウェーバーを通して、説く。

現代人が手に入れた自由。宗教や国家の権威からの解放、といえばいいのだろうか。その自由ゆえに、他者や自我と、己のすべてを剥き出して、丸腰で向き合わなければならなくなった。この痛み、いかばかりか。

だが、著者も述べるように、私たちはもう引き返せない。今さら封建制の身分制度を復活させることはできないし、宗教の権威が復活することもない。自由から逃げることはできないのだ。

宗教的ななにかに拠るか。なにも考えず滑っていくか。ひたすらまじめに、自身と戦いながら生きていくか。選択肢はそれぐらいしかない。

結論を言ってしまえば、悩みに解などない。というか、解などないことに気づくことが解だ。わたしもいよいよ四十歳が近づいてきたので、そのへんはうすうす感じてたけどね。

ほかにも、なぜ働くのか、愛とはなにか、など、悩みを解決できはしないけど、ちょっと進めることができるヒントが載ってるかもしれない。